【RCベルグ工場見学レポート その1】に続く、2回目は、インタビューを中心にお伝えします!
さっそくですが・・・
社長のように 20年以上・・・それこそガレキの創世記から その歴史の中に 身を置いてきた方からの、
『遠那さんの キットが”ターニングポイントのひとつ”』という言葉はとても興味深いのですが、それはどういうことでしょう?
RCベルグ社長(以下 社長) 「”カラーレジンキット”はここ数年増えてきたばかりのジャンルですね。
浅井真紀さんとは「武装神姫」「figma」などを手がけた、
アクションフィギュアと言えばこの人!な方ですよね!?
その 始まりのアクションフィギュアが、
フル可動ガレージキット”PSO レイキャシール“・・・
カラーレジンキットだったとは・・・!
社長 「カラーレジンキットの存在はありましたが、国産のクオリティで量産できる工場が無かった当時、浅井さんに『カラーレジンキットを作りたい』と相談を受けたのが始まりですね。」
カラーレジンキットの草分け的な存在の、RCベルグさん。
その影に 浅井さんが・・・!
社長 「浅井さんの凄いところの1つとして、その相談の際に
『ベルグさんの赤字の無いようにお願いしたい。』と仰ったんです。」
普通なら 依頼者側としては 少しでも安くしてほしいところですよね・・・?
社長 「『国産の良質のキットでありつつも、ユーザーが手に取りやすいように価格は抑えたい。
しかし生産工場が無理をする形で進めては、先が無い。』と。」
な、なるほど! そのとき限りのことではなく、
カラーレジンキットを新たなジャンルとして築く、という意思があったのですね・・・!
そうは言っても新しいものの開発は大変だったと思いますが・・・。
社長 「開発は本当に大変でしたし、開発費もかかります。でも、ノーと言わずに挑戦したかったんです。」
カラーレジンキットが大きく動き出した瞬間ですね・・・!
りゅんりゅん亭 遠那かんし氏(以下 遠那氏)
その道に乗っかり、新たなカラーレジンキットの方向性を提示したのが”ぷにカラー23”というわけですね!
社長 「ざっくりとしたガレージキットの歴史をまとめると・・・
創世記 :”ガレージキット=特撮怪獣”
1990年代 : 美少女ガレキが台頭し 一気に人口が増える
(筆頭となったのはエヴァンゲリオン。当時は版権もとりやすかったことも後押に。)
2000年 : チョコエッグやガチャガチャなどの登場で 完成品ブーム到来
ガレキユーザーはやや減少傾向に
それでも、量産品の完成品フィギュアは、ガレージキットのクオリティには及びませんでした。」
遠那 「しかし一般的には、量産のできないガレキは 工業製品では無いとして アマチュア、とされていましたね。ガレキ より 完成品のほうが上、と。
でも『劣っているとされているガレキの方がクオリティは上』という事実があったので、当時はどうにかして PVC完成品(担当していた商業原型)に ガレキのクオリティを 持って行きたいという気持ちが強かったです。
昔は”PVC完成品”といえばガチャガチャやシークレットBOXの10センチくらいのコレクションフィギュアを指し。ハイクオリティな20センチ(1/8スケール)フィギュアはガレキを指す・・・という雰囲気でしたが、2003年の頃・・・メガハウスのナミ(発売記事)を担当した頃から、1/8スケールのPVC完成品が広まったという印象がありますね。」
1/6とか 1/8とかの PVC完成品の美少女フィギュアは、ここ10年程度の話なのですね。
社長 「さらに 2004年12月に登場した片山博喜氏原型の「霞」(参考レビュー)がマックスファクトリーから発売されるなど、クオリティの高い完成品が登場し、ガレージキットは 益々縮小傾向になりました。」
“乳神様”と呼ばれている霞ですね!
初めて買ったフィギュアがアレです、って人 自分のまわりにも何人もいます。
社長 「同時に、ガレキで販売され話題となったものが、その後完成品として販売されるという流れも「霞」が印象付けたと言えます。」
確かに「ガレキの最終目標は、PVC完成品化」というイメージを持ってる人、多いと思います。
遠那氏
・・・という声は実際、多く聞きます。
イベントでキットを買ってくれた人から『色がついてるのかと思って買ったのに、真っ白だったんですけど・・・』と返品されたりすることもありますし、そういう話は他の原型師さんからも聞きます。それだけ フィギュア=完成品 というイメージになっているんでしょうね。」
自分もそうでしたが、完成品フィギュアから入ったユーザーは、完成品とガレキの違いが最初わからなかったりしますよね・・・。
その作品・キャラクターを好きだからこそ、完成までの手間暇をかけられる・かける覚悟ができる、言わば ガレキは愛の証ですね!
更に ガレキに触れることで増す愛・・・!
遠那 「それに対してPVC完成品は”今アニメがやっているから・人気キャラだから”という旬のある、消費されるもの。さらに 受注してから手元に届くまでの期間が長いので、ユーザーにとって一番盛り上がるのは 受注開始のタイミングで、忘れた頃に手元に届く・・・というパターンも珍しくありません。」
忘れた頃に・・・それは確かにあります・・・。
予約する時にはあんなに興奮していたのに「あ、そういえば予約してたな・・・」みたいな。
遠那 「作り手側にしてみても、キャラクターに似ているかどうか・量産向けの造形か・そして何より 納期第一の商業原型と、ガレキだからこそ表現できる部分・思い入れの分だけ 原型制作に時間をかけられるイベント原型は、まったくの別物。ガレージキット と PVC完成品は コンセプトが違うんです。
ただ、自分も含め、ガレキを作ったことの無い人や、「ガレキ → 完成品」のパターンに慣れてしまっている若いユーザーは、完成品化してくれないなら 手の届かないもの・・・という気持ちになりますね~。
ぃよっ!まってました!!
その挑戦の1作目が 眉や瞳の色分けまで別パーツで表現された”ぷにカラー23” だったんですね!!
遠那 「そうです。
瞳の分割は、浅井さんの作った道をなぞるだけでは申し訳ないと思ったので、自分なりの新しい提案をしたかったんです。
(以降のキットでは、価格を抑える為や、実際の作りやすさなどから検討して、2パーツ+デカールを採用していますが。)」
それが話題になって、カラーレジンキットが一躍広まったと・・・。
社長 「浅井さんのアクションフィギュアは『すごい!』と思っても簡単にマネできるものではなかった。
ぷにカラーの登場は『萌え系のキャラクターのカラーレジンキット』という点で『これならできるかも』と多くの原型師に思わせた。
それがカラーレジンキットが広まるきっかけとなったことは 間違いありません。」
なるほど、冒頭の『”りゅんりゅん亭 遠那さんのカラーレジンキット”はガレキの歴史の中で、間違いなくターニングポイントのひとつ』という言葉の意味はそこにあったのですね!
ぷにカラー以降も 改良を重ね、今では プラモデル感覚で制作できるようになった りゅんりゅん亭のカラーレジンキット。
それは実際に、ガレキユーザーを増やす ことに繋がっているのは間違いありません!
そして今回は、リペたんがそこに仲間入り・・・!!!
リペたんが欲しいから ガレキに挑戦してみようかな・・・という方が いたら、それこそ感無量です!
遠那
「より多くの人がガレキを始めるきっかけになってもらえれば・・・と、
原型や分割には工夫と改良を重ねて、もえハンシリーズのあたりからは、軸打ちも不要な、安定した作りやすさのものになったと思います。」
確かに、何度か挑戦させていただいたキャスパー、綾波レイ スーパープラグスーツver.、葉月クルミ・・・どれも初心者ながらに一定のクオリティで 完成させることができました!
遠那 「ただ・・・
フィーたん
「次回はそこを皆さんに お見せしたいのです~!」
フィーたん・・・遠那さんの説明を我が物顔で締めたね・・・。
りゅんりゅん亭 カラーレジンキットができるまで ~職人、魂の粘土埋め編~【RCベルグ工場見学レポート その3】 へ つづく。
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