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『ワンダーショウケース』 第36期プロデュースアーティストご報告

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『ワンダーショウケース』  第36期プロデュースアーティストご報告『ワンダーショウケース』はワンフェスを母体とする新たな組織(レーベル)であり、ワンフェスから生まれた才能に幅広い可能性を提供するためのサポート機関、新進造形作家の育成と繁栄に目的を置いたアーティストプロデュースシステムです。その第36期プロデュースアーティストをご紹介いたします。【海洋堂】

『ワンダーショウケース』活動内容

ワンダーショウケース   第36期プロデュースアーティスト 稲葉コウ MIZ / 水野 イノリサマ 01

■『ワンダーショウケース』はワンフェスを母体とする新たな組織(レーベル)であり、ワンフェスから生まれた才能に幅広い可能性を提供するためのサポート機関、新進造形作家の育成と繁栄に目的を置いたアーティストプロデュースシステムです。あえてたとえるならば“ガレージキット版『スター誕生』”とでも称すべきものであり、誤解なきようあらかじめ明言しておきたいのは、これは決して「若手原型師の青田買い」ではないという点です。
■ワンフェスを舞台に活躍している造形作家のなかから『ワンダーショウケース』参加アーティストを選出、各アーティストごとに6か月間のプロデュースを行ないます。その期間中は参加アーティストの作品を『ワンダーショウケース』オリジナル商品として販売すると同時に、参加アーティストの才能が広く理解されるよう、積極的な支援活動を試みていくつもりです。
商品の販売はワンフェス会場(『ワンダーショウケース』特設ブース)をメインとしますが、ワンフェス終了後も(株)海洋堂直営ショップでの取り扱いや通信販売を通じ、ワンフェスへ参加できなかった(来場しないような)人々への流通も確保します。
■『ワンダーショウケース』との契約期間中も参加アーティストは基本的にはフリーの立場にあり、ガレージキットメーカーや出版社をはじめとする無数のクライアントとの業務上での接触、および実作業は、各アーティストの意向に任されます。プロデュース期間中、アーティストへの連絡窓口は『ワンダーショウケース』が担いますが、恒久的にマネージメントを拘束するわけではありません。あくまでも期間限定問い合わせ先として、アーティストへのサポートを務めます。このような交渉事においては、ワンフェスを主催する(株)海洋堂も単なる1クライアントとして他クライアントと同一線上の立場に置かれるため、(株)海洋堂がそのアーティストに対し優先的に仕事を依頼できるような特権を持つことはありません。この点につきましては本レーベルにおける意義の根幹に関わる部分ですので、厳正なルールを適用していきます。
■また、『ワンダーショウケース』での展開終了後は、そこで販売した作品の権利も各アーティストへ完全に返還します。ですから、「ワンダーショウケース商品として販売されていたそのもの自体をパーマネント商品として引き続き販売したい」といった要望も、アーティストとの直接のやりとりの元で可能となります。

■『ワンダーショウケース』参加アーティストは、ワンフェスを中心に活動し、かつ、本企画の趣旨に賛同される新進造形作家すべてから広く求めます(※ワンフェスでの活動内容次第では、「ワンフェスへのディーラー参加歴20年」というような方を選出するケースもあり得ます)。
そして、こちらから声を掛ける場合もありますが、造形作家自身や、ワンフェスに関わるすべての人々(一般入場者や、プレス/業界関係者も含む)からの推薦や提案も常時歓迎いたします。
つまり、造形作家の「自分は新たなステップを踏み出したい」という意思表示の場として、その他の人々の「この才能をこのまま放置しておくべきではない」といった“目利き”の場としても、『ワンダーショウケース』は機能するものと考えます。
■以上のように、『ワンダーショウケース』の活動目的は「参加アーティストが自身の将来を見据えた際、複数の選択肢のなかからそれを選ぶことができるような環境の作成に協力していく」ことにあります。要は「参加アーティストに、それ相応の力がある事実を世に広く提示すること」がその主たる活動であり、その結果、将来的に彼らがどのような道を歩んでいくか(たとえば、原型師としてプロフェッショナルデビューするかどうか)は、各人の判断に委ねていくつもりです。
これまでこの世界では聞き慣れなかった“レーベル”という枠組みを名乗る意義もそこにあり、商品販売で利潤を生むことを目的とする“メーカー”とは一線を画す存在として機能していきたいと考えています。
さらに、実際に販売するプレゼンテーション作品(レジンキャストキット)についても、「物欲を満たす対象」としてだけでなく「その造形作家への信任投票」という側面も含んでおり、そういう意味では、一般顧客までが広く参加するムーヴメントであると言えるでしょう。

WSC#096 稲葉 コウ[ぽらりす]

「稲葉コウって……まさか“あの”稲葉コウ!?」プロのメカニックデザイナーが造形に着手した理由

ワンダーショウケース   第36期プロデュースアーティスト 稲葉コウ MIZ / 水野 イノリサマ 02

この人はメカニックデザインにおける足し算(もしくは乗算)と引き算の意味がきちんと理解できていて、そしてこれは、「引き算の美学」を具現化した作品なんだろうな──’17年冬のワンフェス会場にて“RUDOLF”を発見した際、上記のような感想を抱いた。見る人によっては「なんというか……さらっとお気楽に仕上げてくれちゃって」と若干のもの足りなさを感ずるかもしれないが、余計な線を最小限まで削ぎ落とし機体全体が醸し出すシルエットの美しさを前面へ打ち出すと同時に、パネルラインとユニット接合線の凹モールドにきちんと強弱を付けることで造形のメリハリ感を強調。シンプル極まりない習作に見えつつ、そのじつ、これは本人のメカニックデザイナー的資質を端的に表現した肖像画のような造形物に近いのではないか、といった具合だ。
そしてそのとき、ぼくは『ワンダーショウケース』の名刺を作者に手渡し「なかなかセンスがよいのでこの先もがんばって」的な台詞を残してブースを去ったのだが、いざその作者をWSCに選出することを決意しいろいろと調べていった末、件の作者=稲葉コウが現役バリバリの売れっ子メカニックデザイナーである事実に行き着く。結果、プロのメカニックデザイナーに対して「なかなかセンスがよいので~」などと「……いったいどの口がほざいたものか!?」と顔面から火を噴いたわけだが、そこは本題とは無関係なので割愛したい。
いま現在、コトブキヤの創作系ロボットプラスチックモデルシリーズ『フレームアームズ』のメカニックデザインなどを手がけている稲葉は、言ってしまえば「自分でわざわざ造形に手を染めなくとも、自分のデザインしたロボットの優れた立体物が続々と世に生み出されていく立場」にある。それでもワンフェスにメカニックデザイナー兼造形作家としてディーラー参加しはじめた理由は、「とにかく造形物が大好きなのでそれを自身の手で産み出したい」「商業企画には成り得そうもない創作系少女型ロボットをシリーズ化し、それを実際に立体物として手に取ってみたい」というところにあったという(じつは、RUDOLFというのはサンタクロースのソリを引く9頭のトナカイの中における1頭の名前だそうで、いま稲葉の頭の中では、残り8頭のトナカイ=8体の創作系少女型ロボットのデザインが練られている最中らしい)。
なお、こういう人物に対し「もっとこういう方向性を模索すべき」などと語るのは野暮そのもの。ワンフェスという場を有効活用し、造形活動を併用することでメカニックデザイナーとしての幅を拡げて行ってほしい。

text by Masahiko ASANO

プロフィール

いなば こう●1984年12月16日生まれ。地方在住者であったため民放テレビのチャンネル数が少なく、テレビで見ることのできるアニメの数が少なかったため、小学校高学年時より『フロントミッション』『レイストーム』などのゲームを通じオタク趣味を嗜みはじめる。高校卒業後は宝塚造形芸術大学の造形学部へ進学し、その後、ゲーム制作会社へ就職。ゲームの2Dデザイナーとしての道を歩みはじめ、時間経過と共にメカニックデザイナーとして頭角を現すことになる。そして仕事柄「ガレージキット」「ワンフェス」という言葉をよく耳にするようになり、自分でもフィギュアを作ってみたいという欲が湧き『模型塾』(主催/東海村原八)へ通いガレージキット的造形のイロハを習得。’13年冬のワンフェスから“ぽらりす”名義にてディーラー活動をスタートさせた。また、’12年7月発売の“四八式一型 輝鎚・甲”からコトブキヤの創作系ロボットプラスチックモデルシリーズ『フレームアームズ』のメカニックデザイナーも担当。いまもっとも脂が乗っている、新進気鋭のメカニックデザイナーのひとりと言うことができるだろう。
https://twitter.com/inaba_koh

❖『ワンダーショウケース』WSC#096プレゼンテーション作品解説 RUDOLF

ワンダーショウケース   第36期プロデュースアーティスト 稲葉コウ MIZ / 水野 イノリサマ 03

from WSCアーティスト自身による創作キャラクター
ノンスケール(全高150mm)レジンキャストキット
※写真には2体写っていますが単体での販売です

(C) Koh INAB

■商品販売価格
ワンフェス会場特別 価格
/11,000円(税込)
※ワンフェス会場販売分30個限定

ワンフェス以降の一 般小売価格
/13,000円(税抜)

※2月 10日以降はホビーロビー東京&ホビーロビー門真店頭、
及び、海洋堂公式Webサイト(http://www.kaiyodo.co.jp/)内
『海洋堂オンラインショップ』(http://kaiyodo.ecq.sc/)での取り扱いが基本となります

コトブキヤの創作系ロボットプラスチックモデルシリーズ『フレームアームズ』のメカニックデザイナーを担当し、いまもっとも脂が乗っているプロフェッショナルメカニックデザイナーのひとりである稲葉コウ。そんな彼がこっそりと(?)ワンフェスへディーラー参加しはじめ、処女ガレージキット作品として発表したのが、この創作系少女型ロボット『RUDOLF(ルドルフ)』です(※写真には2体写っていますが、この2体はディテールはまったく同一のカラーリングバリエーションです)。
各部のディテールを過剰に作り込むことなく、シンプルにシルエットの美しさで魅せる手法は「さすがはメカニックデザイナー」と言ったところでしょうか。とくに細身の少女型ロボットということもあり、作者的には「背面の、お尻周辺のラインがお気に入り」とのこと。ちなみに当然(?)ながら3DCGモデリング作品なのですが、使用したソフトウェアがなんとMetasequoia(メタセコイヤ。無償提供されているため趣味で使用する個人ユーザーが多い)というのもまた、稲葉がこの作品をいかに楽しんで「仕事とは完全に切り離した感覚」にて製作したかが分かるかと思います。

❖稲葉コウからのコメント
初めまして、稲葉コウと申します。
普段の私はフリーランスの2Dデザイナーであり、フィギュア原型師とは違った土俵で活動しております。ではなぜ膨大な手間暇と費用を掛けてまでオリジナルフィギュアを製作しているのか。趣味と言ってはそれまでですが、自分にとってはそれ以上に大事なことなのです。前述のとおり本質はあくまでデザイナーであり、アーティストではありません。発注ありきでございます。ところが、やはりときにはアーティストとして自分を表現したいという思いもございます。イマジネーションの源泉は同じなのです。
ワンフェスは自分にとって表現の場に正にうってつけです。客層も需要も多彩な夢の市場です。もちもん手放しでお客さんが集まるわけではありませんが、手塩にかけて練り上げた作品を評価していただいたときは日常では味わえない快感がございます。こうしてまたモチベーションを得て、次の作品に繋がるのでございます。おそらくワンフェスに出展されている多くの方々も、そうなのでしょう。
そして今回『ワンダーショウケース』に選んでいただいた私の“RUDOLF”。私のアーティストの部分を具現化したものですが、バックストーリーもない、可動もしない創作系のロボ少女フィギュアがこのような誉れ高い評価をいただいたことは率直にうれしく思います。
大勢の方に見ていただくことで、自分の心理の偏りを大衆の面前で叫んでいるようではずかしいですが……。
それでもRUDOLFは自分でもかなり上手くいったと自負しております。それは評価を気にせず作ったからかもしれません。矛盾するようですが……。
でも周囲の評価と自己の納得、そのバランスがとても大事なのだと分かりました。

WSC#097 MIZ / 水野功貴[MARUT TOYS]

理系出身ではないものの「脳の構造は完全な理系」
プロダクトデザイン&ブランディングの鬼才現る!

ワンダーショウケース   第36期プロデュースアーティスト 稲葉コウ MIZ / 水野 イノリサマ 04

「デザイン専攻の大学に通っていたので当初はイラストレーターを志していたのですが、実際のところ、大学ではプロダクトデザイン寄りの立体デザインや造形ばかりしていて……そんなとき、とあるホビーショップの店頭にて千値練版1/35 塗装済み完成品の(WSC#060 小林和史による)メカトロウィーゴのPOPを目にしてしまい、その衝撃によって、“……よし、自分も大学の卒業制作は創作系メカのブランディングで行くぞ!”と決めてしまったんですよ」。
現在と比べると格段にマイナーな存在であった小林とウィーゴを’12年夏の段階で『ワンダーショウケース』へ選出していた自分からすれば少々鼻が伸びてしまいそうなエピソードではあるのだが、そこまでウィーゴ・ショックたる影響下に置かれながら、ウィーゴをほぼまったく想起させぬMARUTTOYS(マルットイズ)”というブランディングを確立させ、そして、「デビュー作にていきなりこの完成度の高さはオカルト染みていやしないか?」というレベルの作品を世に送り出したMIZ / 水野功貴の才能をこの文字数で語り尽くすのはたぶん不可能に等しい。「深澤直人や佐藤ナオキ、ディーター・ラムス(ブラウン)やジョナサン・アイブ(アップル)などさまざまなプロダクトデザイナーから多大な影響を受けた」というバックグラウンド的な言葉をいくら記したとしても、それでもやはり、彼自身の資質に基づくオリジナリティーとその立体再現度の極端な高さにはただただ驚かされるばかりである。
たとえば「そもそもはコスト削減による手法ではあったのですが……」と本人は語るものの、光沢感溢れる白色の外装パーツは業者成型によるレジンキャスト製なのだが、グレーの内部フレームパーツには、ワンフェス系デジタルモデラーが光造形に向けた出力テストにしかほぼ使わぬようなFDM式3Dプリンタ(UP mini2=ほぼ10万円で購入可能)のABSフィラメントによる出力品を意図的に使用。「安価なFDM式プリンタの出力パーツゆえに本来ならば存在しないに越したことはない積層目が当然ながら目視できてしまうのですが、ただし、その積層目がCFRP(カーボンファイバーコンポジット)的なテクスチャーに見えるような方法を考えに考え抜いてみたんです」というコメントを聞くに、「う、うう~ん……マジか!」と思わず唸らされてしまうのである。
言ってしまえばもうすでに、「誰が先駆者で誰が追随者なのか」などという考え方は必要ないのかもしれない。それほどまでに、MIZ / 水野功貴とMARUTTOYSの存在感は他を圧倒していると言えるだろう。

text by Masahiko ASANO

プロフィール

みず/みずのこうき●1992年4月7日生まれ。「2歳から絵を描きはじめ3歳で肩凝りによる偏頭痛で病院に運び込まれる」という、幼少期から絵画や工作などに完全特化した人生をスタート。その後ロボットアニメ等にも至極自然に傾倒していき、小学6年生のとき再放送で出会った『ふしぎの海のナディア』で「自分が好きなものがすべて詰め込まれている!」という自覚を促すことに繋がる。高校はデザイン学科のある川崎総合科学高校へ、大学は東京学芸大学(ビジュアルコミュニケーション学科)へ進み、メカ+美少女フィギュアのガレージキット的造形やその複製を覚えるも、ある意味当然と言えば当然なのかもしれないが己の趣味嗜好が漫画やアニメよりもプロダクトデザイナー側へ傾倒しはじめ、ワンフェスへのディーラー出展の下見として’18年冬のワンフェスで初の一般参加を果たす。そして’18年夏のワンフェスにて“MARUTTOYS”名義にてディーラー参加をスタートさせ、その初回にてWSCアーティストに選出されるというある種のシンデレラストーリーを達成するに至る。

https://twitter.com/MARUTTOYS_MIZ

❖『ワンダーショウケース』WSC# 097プレゼンテーション作品解説 MAMORU

ワンダーショウケース   第36期プロデュースアーティスト 稲葉コウ MIZ / 水野 イノリサマ 05

from 『A TAR ASY products』(WSCアーティスト自身 による創作ブランド)
ノンスケール(全高=変形前135mm、変形後180mm)
レジンキャスト&AB Sフィラメントキット
※写真には2体写っていますが単体(白色版のみ)での販売です
(C)MARUTTOYS

■商品販売価格
ワンフェス会場特別
価格/ 18,000円(税込)
※ワンフェス会場販売分30個限定

ワンフェス以降の一 般小売価格
/21,000円(税抜)

※2月10日以降はホビーロビー東京&ホビーロビー門真店頭、及び、海洋堂公式Webサイト(http://www.kaiyodo.co.jp/)内『海洋堂オンラインショップ』(http:// kaiyodo.ecq.sc/)での取り扱いが基本となります

世界中の著名なプロダクトデザイナーから影響を受け、同時に、己が創作したプロダクトをきちんとブランディングしていくことに自分の進むべき道を見い出したMIZこと水野功貴は、過去のワンフェスには存在しなかった、まったく新しいタイプの「プロダクトデザイナー兼3DCGモデラー兼ブランディングプロデューサー」と言うことができるでしょう。
ワンフェス初出品作にして、WSCプレゼンテーション作品となった創作系ロボット『MAMORU』(近未来における対ロボット向けセキュリティーロボット)は、「いかにもそれらしい」プロダクト然とした変形前のフォルムの美しさがまずは大きな見どころ。そしてもちろん、作品内に付属するネジ止め加工にて可動~変形するのも同作品のポイントですが、最大の特徴は、内部フレームパーツにあえて安価なFDM式3DプリンタによるABSフィラメント出力品を使用したアイディアにあります(WSCプレゼンテーション作品も、実際に内部フレームパーツはABSフィラメントパーツにて構成されています)。こうした発想の柔らかさと、それを高次元で成し遂げてしまった決定的な事実にぜひとも注目してみてください。

❖MIZ / 水野功貴からのコメント
初めましてMARUTTOYSのMIZと申します。
「ワンフェスに行ってみようかな~」と、初一般参加したのが2018の冬。ワンフェスに初ディーラー参加したのが2018年の夏。そしてWSCに選ばれたのが2019の冬。
WSCの存在は知っていたものの大御所の方々が選出される企画程度の認識でしたので、まさか駆け出しの自分が選ばれるとは思っていませんでした。
この度ありがたいことに選出された“MAMORU”についてご説明したいと思います。
MAMORUは私の造形活動の中でも集大成として、看板作品となるべくして生み出した作品です。
MAMORUは機能美、シンプルな造形の美しさ、形状が与える心理的な要素などプロダクトデザインとしてのメカデザインをしました。昨今、緻密なディテールや奇抜な形状が多いメカの中であえて個性を出すならGOOD DESING AWARDやreddot design awardなどを受賞するようなオリジナルロボットを作ろう。自分の中にあるプロダクトデザイナーへのあこがれをかたちにしようと躍起になって製作しました。
ちなみにMAMORUの設定は「近未来の対ロボット向けセキュリティーロボット」で、全長は通常時で2m程あります。
丸みのある柔らかな形状は攻撃的なロボットではなく街の安全を守る優しきロボットとして認識させると共に、市街地での活動においても威圧感を極力与えないようにしています。
変形時はさまざまな活動ができますが変形後はそれなりの威圧感、攻撃性を感じさせるため、その心理を軽減するために変形機構を採用したという設定です。
しばらくはプロダクトデザイナーになりきりながらオリジナルメカのガレージキットを販売していこうと思います。

WSC#098 イノリサマ [祈リサマ]

「……なんとなく怖い」という評価を脱却すべし!
セミリアル系美少女フィギュア造形の先鋭的刺客

ワンダーショウケース   第36期プロデュースアーティスト 稲葉コウ MIZ / 水野 イノリサマ 06

以下に記す件はたびたび綴ってきた話だが、アニメや漫画に登場する美少女キャラクターというのは、生身の女体を一度解体~記号化し、それを再構築する際に情報量を削ぎ落とすことによって成立している。だからそうした美少女キャラクターを立体化する際、記号化され削ぎ落とされていた情報を付け足してやれば、その美少女キャラクターに対し生身の女体が有する身体のラインやディテールを加味することが可能となる。俗に“セミリアル系”などと称される美少女キャラクター造形は、こうした手法に基づき成り立っていると言ってよいだろう。
もっともこのセミリアルという手法は想像以上にリスクが高く、生身の女体が持つ情報の付け足し方が上手ければ称賛の対象と化すものの、同情報の付け足し方のバランスが少しでも悪いと途端に「なんだか怖い」「生理的にダメ」という話に陥りがちなのだ。
そしてそのセミリアル系の作風にて一部ではつとに知られた造形作家、それがイノリサマという人物だ。
ただし前述した例そのままに、その作風がプラスに転ずるときとマイナスに転ずるときのギャップが激しく、その安定感の乏しさから『ワンダーショウケース』選出までには至らずにいた……というのが実情であった。
もっとも今回プレゼンテーション作品となった“ラヴィニア・ウェイトリー”に関して言うと彼の資質がすべてよい方向性に転んでおり、とくに膝周辺を筆頭とする脚のセミリアル系造形表現は両手を挙げて褒められるものがある(簡潔に言えば、「自分の作風と整合を取ることのできるネタ=造形対象選びの段階で勝った」ということなのだろう)。本人曰く、スカートを透明レジンパーツとした理由もそこにあり、「膝をメインとした脚のセミリアル的造形表現を100%可視化するためには、大腿部が醸し出すそのラインを不透明レジンパーツで隠すわけにはいかなかった」と語る。そして同時に、「じつは、これまでは己の造形物が“怖い”と言われるケースが多かった」と素直に告白してくれたのだ。
そう──己のストロングポイントたるセミリアル系造形表現が、じつはウィークポイントと表裏一体関係にあるという事実に彼自身も気付いてはいたのだ。
というわけで、あとはそのセミリアル系造形表現にきちんと磨きをかけて行けば、イノリサマの作風はいま現在のガレージキットシーンに必ずや馴染んでいくに違いない。己の作風をどこまで客観視し改善することができるか、今回こうしてWSCに選出されたことでそれが早々に成し遂げられることを大いに期待したい。

text by Masahiko ASANO

プロフィール

いのりさま●1985年2月13日生まれ。小学生時代、友人の兄が遊んでいた『SDガンダムワールド ガチャポン戦士』等のゲームを通じガンダムシリーズに興味を抱くこととなり、ガンプラ製作に手を染めるも比較的あっさりとフェードアウト。中学生時代には『新世紀エヴァンゲリオン』『機動戦艦ナデシコ』といったアニメに傾倒、その流れで7~8年ほど前のワンフェスへ『ToHeart2』の公開録音を見に行くため初の一般参加を果たした際、会場にてフィギュアの放つ魅力にノックアウトされることに。なお、高校卒業後はコンピュータ専門学校へ進学、プログラマーと化す予定であったのだが、「……じつは自分は性格的にプログラマー向きでない」という自己分析に則り半ば強引にゲーム制作
会社へ就職。その後ゲーム制作会社で3DCGモデラーを努めながらガレージキット的造形を独学で覚え(ちなみに会社の仕事ではMayaを駆使しているものの、個人的な造形活動ではZBrushを活用)、’1
3年夏より“祈リサマ”名義にてワンフェスへのディーラー参加を開始するに至る。
https://twitter.com/inorisama

❖『ワンダーショウケース』WSC#098プレゼンテーション作品解説 ラヴィニア・ウェイトリー

ワンダーショウケース   第36期プロデュースアーティスト 稲葉コウ MIZ / 水野 イノリサマ 07

from スマホ用ソーシャルゲームアプリ『Fate /Grand Order』
1/7 スケー ル( 全高210mm) レジンキャスト

(C) TYPE-MOON / FGO PROJECT

■商品販売価格
ワンフェス会場価格/13,000円(税込)

※ワンフェス会場販売分40個限定
※諸般の事情により、一 般販売は行われません。

「イノリサマ」という一風変わったモデリングネームと、ZBrushを駆使した独特のセミリアル系美少女フィギュア造形で、一部の好事家のあいだではすでに有名な存在であった彼が、いよいよブレイクスルーを果たした作品──それが今回WSCプレゼンテ ー シ ョ ン 作 品 と な っ た 『 ラ ヴ ィ ニ ア ・ ウ ェ イ ト リ ー 』(『Fate/ Grand Order 』に登場するキャラクター)と言えるでしょう。
数多くの魅力的なキャラクターが登場するFGOの中でも決してメジャーなキャラとは言えませんが、自身の作風とキャラの醸し出す空気感が見事にジャストフィット。デフォルメの方向性を一歩まちがうと薄気味悪くなることもあるセミリアル系の造形がハマりにハマりまくり(とくに本作では膝まわりの造形が秀逸!)、おそらくはラヴィニアというキャラのことをよく知らない人の目にもイノリサマの実力のほどが見て取れているのではないでしょうか。また、造形とは関係ありませんが、美少女
フィギュアのレジンキットを仕上げる塗装の技術とセンスに秀でているのも彼のストロングポイントのひとつ。ぜひワンフェス会場では完成見本の仕上げの美しさに見入ってください。

❖イノリサマからのコメント
こんにちは、うっかりこんなことになってしまいました、イノリサマです。
「あ、代わりに再販してくれるんだ、自分が何も背負わずに再販の約束を守れるなら」みたいな軽い気持ちでオファーを受けてしまいましたが、思ったよりも大ごとでした。……いやぁ……浅はかでしたね。
が、浅はかでしたが後悔はしておりません、とてもうれしく思います。せっかくこうしてコメントを書く枠をいただけましたので、作品を見に来てくれた方、購入してくれた方、さらにはキットを完成させてくれた方へ、この場を借りてお礼を言わせていただきます。本当にありがとうございます!
今回選出していただきましたラヴィニア・ウェイトリーですが、キャラデザを見た瞬間に気に入り、「あ、作りたい」となったキャラクターで、本当に楽しく作成させていただきました。創作系であれ版権物であれ、自分が作りたかったりほしかったりするものを好き勝手作っております。このあたりは個人で参加するイベント活動としての強みですよね、好きだから、やりたいからという理由だけで作れる。そうやってできたものを「好きだ」といってくれる方がひとりでもいてくれたなら、とてもうれしく思います。自分の好きなラインが、他の大多数の人の好きのラインじゃないという自覚があるので、とくにですね。
もうワンフェスに出はじめて5年になります。「市場でプレ値で売られているほしいキャラクターのフィギュアがあり、それを買うならば自分でほしいものを作ってしまおう」というのがはじまりだったかと思います。それがこんなに長く続くことになろうとは……見事に人生踏み外した感ありますが、元々しっかりと地面を踏みしめていたかと考えると、まったくそんなことはなかったので問題はありません。
これからも続けられる限りは、創作系でも版権物でも自分の好きなものを作ってイベントに参加していきたいと考えていますので、どこかのタイミングで少しでも気に入ってくれたものがあれば、ぜひ見にきていただけるととてもうれしく思います。これからも何とぞよろしくお願い致します。

『ワンダーショウケース』プレゼンテーション作品販売形式

❖商品取り扱い店 (※原則的に1アーティスト6か月間の扱い)
海洋堂ギャラリー ホビーロビー東京
東京都千代田区外神田1-15-1 6 ラジオ会館 5F
不定休/営業時間11:00~20:00
PHONE 03-3253-1951

海洋堂ギャラリー ホビーロビー門真
大阪府門真市柳町19-3 株式会社海洋堂 敷地内
水曜定休/営業時間 月・火・木・金 12:00~18:00
土・日・祝 祭 日 11:00~18:00
PHONE 06-4397-7787

❖商品通信販売 (※原則的に1アーティスト6か月間の扱い)
海洋堂公式Webサイト内『海洋堂オンラインショップ』
http://www.kaiyodo.co.jp/(海洋堂公式Webサイト)
http://kaiyodo.ecq.sc/(海洋堂オンラインショップ)

関連

ワンダーショウケース

※こちらの記事はプレスリリースとしてお寄せ頂いた記事になります。

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